火精
第12話・・・「迷走」

 わたしはきっと顔面蒼白でいたに違いがない。由紀の部屋の由紀のベッドの上でわたしは裸で横たわっていた。そして由紀はわたしの胸の上に顔をのせて抱き付いて同じく裸で寝ている。そして由紀の股間からは大量の愛液に混じり一筋の鮮血、そしてわたしの右手の指にも同じ血が……由紀の破瓜の血……わたしが由紀の処女を破った、泣き叫ぶ由紀の処女孔に強引に指を咥えこませ処女膜をかきむしったんだ……親友の……一番の友達の……大切なものを強奪した……
「なんで泣いてるの?」
 いつのまにかに目が覚めた由紀が、わたしを見上げて声をかけた。わたしは何時の間にか泣いていた。
「ゴメン由紀……ごめんなさい……わたし、わたし……」
「なんで謝るの? 有宇子わたしに謝るようなことした?」
 え?
「有宇子、もっとしてよ、わたし、有宇子ともっと……」
「由紀?……」
 由紀の目は正気を失っていた。
「ねえ、もっとして、キモチイイことして……」
 そう言いながら由紀はわたしの乳首をもてあそび出した。
「ねぇ、有宇子ぉ、してくれないとわたしから……」
 ああ……わたし、由紀の心まで壊した……コワシタ……ユキヲ。
「ああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
 わたしは絶叫をあげ由紀を突き飛ばすと、十二階のベランダから飛び降りた。
 受身も取らずに頭から地面に激突するが、人でないわたしはかすり傷程度の怪我しかしない。まわりに人が集まってきて唖然としてみている、当然だ、突然全裸の少女が空中から降ってきたんだ。わたしは立ちあがると、人波を掻き分けあてもなく走り出した。
 だんだんと走るスピードが上がる人間の動体視力を超えるほどに……わたしはがむしゃらに走った行き先なんてどこでもよかった、いや、どこに行けば良いかわからなかった。

 気がつくと繁華街の路地裏でわたしは膝を抱えうずくまっていた。
 どうしよう? 服もない、お金もない、ここが何処かもわからない……
 だれか、タスケテ。ご主人様、ご主人様……
 なんで、なんで由紀にあんな事した?
 由紀が、美味しそうだった……由紀の事を食べたかった……友達なのに、親友なのに……わたしが人間じゃなくなったから……ケダモノだから……
 あ……突然股間に冷たいものが流れた、手を当ててみると手に血がついている。
「な、何これ?」
 わたしは血のついた手をじっと見つめた。
 せ、生理? 朝から頭が痛くて身体がだるかったのは寝不足のせいじゃなかったんだ……あたしは生まれて初めて自分のソコから流れてきた血液をずっと見ていた。初潮だった、同級生のほとんどが小学生のころに迎えていたのに、わたしにはなかった。クラスでまだなのはたぶんわたしだけだ。
「こ、こんな時に……」
 わたしは涙があふれた。わたしはずっと初潮がこない事に不安だった、子供っぽい体型以上に、コンプレックスを感じていた。でも、こんな時に、こんなうすぎたない路地裏で、着るものもなく処理をしようにも何も持っていない、そんなときにこなくたって……
 惨めだ、きっと由紀をあんな目にあわせた報いだ。
 助けて……ご主人様……
 そ、そうだ、わたしはご主人様のところに行くはずだったんだ。
 わたしは突然思いだし立ちあがった。
「行こう、ご主人様のところへ」
 声を出して行動を確認する……でも、どこへ? ここが何処かもわからないのに、ご主人様の家が何処かもわからない、家へ送ってくれたときはわたしは意識が朦朧としていてどんな道を通ったかほとんど記憶が無かった。
 ……学校だ。
 学校に行けば遅くとも明日の朝にはご主人様に会えるはずだ。
 でも、こんな格好じゃ……
「あ、あなた、何してるの?」
 突然後ろから声をかけられた。振り返ると二十歳過ぎくらいの水商売風の女の人が驚きの表情で立っていた。当然だ、全裸の女の子が股間から血を流して立っていれば驚かないほうがおかしい。
「え……」
 わたしは突然の事で声が詰まった。本当の事は話せないしこの場でとっさに嘘を付けるほどの機転も無い。わたしが黙って立っていると女の人は自分の上着を脱いでわたしの肩にかけてくれた。
「あなた、もしかしてレイプされたの?」
 なるほど、この状況を見れば普通はそう思うだろう。わたしはかぶりを振った。
「じゃあ、どうしてこんな格好で……この血……生理ね?」
「わたしはうなずいた」
 女の人はバックからウェットティッシュを出すとわたしに渡した。
「とりあえずこれで拭きなさい」
 わたしは渡されたウェットティッシュをじっと見つめてた。
「あなた……もしかして初めて?」
 コクンとうなずくわたし。
「信じられない……何処の世界にこんな所で裸で初潮を迎える娘がいるのよ……」
 女の人はあきれて言った。そのとおりだと自分でも思った。ほかの国ならともかく、少なくともこの平和な日本でこんな初潮の迎え方をする女の子はそういないだろう。
「仕方がない、わたしがやってあげるから、そこの箱の上に座って」
 わたしは女の人の指示道理に箱に座ると、女の人はきちんと処置をしてくれナプキンをあててくれ、バッグの中からショーツを取りだし履かせてくれた。
 わたしには似合わない大人っぽい下着だ。
「小学生にはちょっと派手かな」
 女の人はそう言って笑った。
「ちゅ、中学生……」
 わたしは赤くなってぽつりとつぶやいた。
「あ……ごゴメンネ、気にしてるよねきっと」
 女の人は素直に謝ってくれた。
「さ、行くわよ」
 そう言って女の人は立ちあがりわたしの手を引いた。
「ど、何処に?」
「わたしのマンションよ、警察には行きたくないんでしょ?」
 わたしはうなずいた。
「乗りかかった船だし、最後まで面倒見るわよ、ほら、その上着ちゃんとボタン閉めれば、下着も胸も見えないから」
「でも、これから出かけるんじゃないんですか?」
「こんなところ見て、ほって置けるわけないでしょ」
「でも……」
「いいから、来なさい」
 そう言って彼女はわたしの手を引いた。 わたしはまた涙が出てきた、よかった、親切な人に見つけられて……
「ほら、泣いてないで、早く行くわよ」
 彼女はわたしの肩をそっとたたいて、微笑んだ。

「わたし繭子ってんだけど、あなたは?」
 タクシーで五分ほど走ったところのマンションが彼女、繭子さんの住まいだった。
 部屋につくと彼女はスウェットの上下を貸してくれた。繭子さんとわたしとでは体格が全然違うのでぶかぶかだったけど……
「ゆ、有宇子」
 わたしはぽつりと答えた。
「なんで、あんな所で裸でいたの?」
 わたしはうつむいてしまった。本当の事なんて答えられないし、適当な嘘も思いつかない。
「言えないの?」
 わたしは黙ってうなずいた。
「わたし、あなたの事助けてあげたのよ」
 ぽろぽろと涙がこぼれてきた。本当に今日は泣いてばかりだ、涙って枯れないんだ……
「ご、ごめんね、別に責めてるんじゃないのよ」
 繭子さんはわたしの涙を見て動揺してしまったようだ、自分のせいで泣いたと思ったらしい。わたしは自分が情けなくて涙を流しただけだったんだけど。
「人に言いたくない事や言えない事なんて誰にもあるわよね。ほら、そんなに泣いたら可愛い顔がだいなしよ」
 ハンカチでわたしの顔を拭きながら繭子さんは言った。
「ほら、鼻水も……あなたほんとに面白い子ね」
 面白い?
 不思議そうな顔で繭子さんを見ていると彼女は、
「表情がコロコロ変わるし、最初に見たときは妙に大人っぽい顔してたけど、今はまるで赤ちゃんみたい」
 そう言い彼女は微笑んだ。
「それに……可愛い……食べちゃいたい」
 そう言って彼女はあたしの唇に自分の唇を重ねた。
「ん、んんんっ」
 彼女の舌がわたしの唇を割り込み口の中へ進入してくる。わたしはそれを無意識に受け入れ自らの舌を絡める。
「ふふ、変ね、わたしレズッ気ないと思ってたのに、なんかあなたの目を見てると……ひ、引き込まれそう、ねぇ、いいでしょ? 有宇子ちゃん」
 彼女はわたしを抱き寄せささやいた。
「でも、今生理で……汚いです」
 わたしはスイッチが入ってしまったように自分から繭子さんに抱きついてしまった。
「いいの、あなたのなら汚くない」
 彼女はわたしの上半身を剥いた。
「かわいいよ、有宇子ちゃん」
 そう言ってわたしの乳首を口に含んだ。
「あん、ん……」
「もう硬くなってる」
 舌で乳首を転がしだす。わたしは彼女の頭を思いっきり抱き寄せた。
 キモチイイ……そう思っていると彼女の身体から精が流れ込んできた。
 精って相手に感じさせられても受け入れられるんだ……だから、ご主人様に最初にされたとき拒絶する事ができなかったんだ……でも、安藤に対しては拒絶した……わたしって真性のレズなのかな? 繭子さんの舌に感じながらもあたしはそんな事を考えていた。
 口で右胸を舐めながら、右手で左胸にも攻撃してきた。
「あ・あんっ」
 あたしの胸は概観は未発達なくせに、性感滞としてはかなり発達しているようだった。
「ふふふ、有宇子ちゃん盲感じてるの? 感じやすいのね」
 繭子さんの手がパンティーの中に入ってきてナプキンをどけわたしの敏感な肉の芽を摘まむ。
「やぁ、ダメ、き、汚いです……」
「有宇子ちゃんのなら汚くなんてないわ」
 わたしの拒絶しようとした手を繭子さんは退け、あたしの割れ目に愛撫を続ける。
「ほら、もうクチュクチュ言ってるわよ、有宇子ちゃんのワレメちゃん」
「い、いやぁ言わないで……」
「さあ、脱ぎ脱ぎしましょうね」
 繭子さんはそう言ってわたしの下半身も裸にした。わたしのアソコは愛液と初潮の血が混じりあったもので濡れている。
「は、恥ずかしいよう……」
 あたしは血がついた下半身を見られるのがとても恥ずかしかった。
「恥ずかしくなんてないでしょ? ほら」
 そう言って繭子さんはあたしのアソコを舐めだした。
「ひ、ひぅ……ああ、ダメです、繭子さぁん、き、汚い……あぁ……だめ、き、気持ちイイ……は、恥ずかしいのに、気持ちイイよぅ……」
 わたしは両膝でしっかりと繭子さんの頭をはさみこみ、両手で股間に押し付けた。
「あ、あ、あ、そ、そこ、い、イイの……キモチイイの……もっと、もっとして」
 あられもない声を出しわたしは更なる快感を求めた。
「キスして、有宇子ちゃん」
 唇をアソコから離し繭子さんはあたしにキスを求めた。あたしは繭子さんに覆い被さるように繭子さんの唇に吸いついた。仰向けになる繭子さんの上になり、必死に繭子さんの口内に舌を進入させる。
 血の味がする……それはわたしの初めての血……そしておそらくは最後の……
 繭子さんの舌がわたしの舌に絡まる、わたしの唾液が繭子さんに流れ繭子さんの唾液がわたしに流れる。
「ん、んんんっ」
 繭子さんが両手をわたしのお尻に廻し、後ろからわたしのアソコを弄ぶ。
「繭子! いるのか?」
 突然玄関から男が入ってきた。それも三人も!
「な……」
 ベッドの上で絡まるわたしと繭子さんを見て呆然とする男たち。
「あ……健二超で良いところに着たわね。この娘有宇子って言うの、可愛いでしょ? 凄いエッチなのよ、健二もどう?」
 そう言うと健二と呼ばれた男に向かってわたしのアソコを広げて見せた。
「や、やだ、やめて繭子さん!」
 あたしは必死に拒絶しようとするが、すでに快楽を求めるスイッチが入った身体は容易に言う事を聞かない。
 ゴクンと健二が唾を呑む音が聞こえると、あたしのお尻を誰かが両手で抑えた。アソコに熱いものがあたる。
「い、嫌! ダメ! やめて!!」
「これで大人に慣れるわよ」
 必死の懇願も繭子さんは聞き入れてくれない、まるで何かに魅せられたような目でわたしを見つめる。
 ぐっと何かがわたしのアソコに押し入ろうとする。健二のペニスだろう……なんで? なんで安藤の時みたいに力が出ないの? ぼろぼろと涙がこぼれる。
 わたし……このまま見ず知らずの男に犯されるんだ……

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