有宇子-火精II-

第一話・二度目の入学式

 わたし、柏木有宇子は人生で二度目の中学入学式を迎えていた。
 だだっ広い講堂にたった六十人の新入生、後方には三年生が十人ばかり見守っている。父兄の姿は全く無い。この学園「友愛女学園」は生徒、教師及び学園関係者以外の立ち入りは例え生徒の保護者でも禁止されていた。
 壇上では若い女性の学園長が新入生に訓示を述べている、年齢はたしか三十一歳見た目は二十代半ばに見えた。
 学園長だけでなく、この学園の教師と職員はみんな若い女性だ、先日入寮した寮の寮長も二十代半ばだった、ぱっと見渡した限り三十を越えていそうな教師は一人もいない、女子高なので男性教諭がいないのはありがちだけど、何故みなこんなに若いのだろう? この学園の謎に何らかの繋がりがあるのだろうか? わたしはそんな事を考えながら、長ったらしい学園長の話しを聞いていた。

 昨年の九月ある日、その日はとても天気が良い昼寝日和の日だっだ、わたしはいつもの様に無意味に広い橘家の邸の縁側で日課の昼寝をしていると、恐る恐るわたしを呼ぶ声がする。
「……ちゃん、有宇子ちゃん、悪いけど起きてくれない? 聖人様がお呼びなの」
 わたしが不機嫌そうに目を開けると、背中まで伸ばした艶やかな黒髪は綺麗に手入れをされ、人懐っこそうなタレ目がちの目と、スッキリとした目鼻立ちの少女がちょっと困った顔でわたしの顔を覗きこんでいた。
 少女の名は希、外見は女子高生だが正体はわたしと同じ妖魔だ。
 十年ほど前ある事件が切っ掛けで、わたしと同じく聖人様の下僕となった。それ以降、見た目はわたしよりも年上だけど、わたしの「妹分」になっている。
「呼んでるの? 聖人様が?」
 聖人様がわたしを呼び出すのは珍しいことだ、なにせ「ご主人様の事件」から十五年もたった今になっても、聖人様のわたしに対する気持ちは何ら変わっていない、早い話がゾッコンだ。人間同様の恋人として扱ってくれる、用があれば自分からやって来る。
 当然橘家の人間もわたしを人間のように、聖人様の妻同然に扱う。皇一族の党首である「皇大和」は妻帯する事ができない、結果人間ではないものの現在の皇大和である聖人様の唯一無二の恋人であるわたしが妻同様の扱いを受けているのだ。外見は十五年前のまま、発育不良の中学二年生であるわたしがだ……
 したがってよっぽどの事がない限りわたしを危険な目に合わせたくないというのが聖人様の本心なのだ。
 だけど、わたしが以前のように自分の力も満足に扱えないヒヨッコのままってわけではない。元々精のキャパが高く、白竜にいろいろな古武術、精の有効な使い方を習い、十五年もの間聖人様の精を受け続けてきたわたしは、聖人様の二十の下僕の中で白竜に次ぐ実力を身につけている。よっぽどの相手でないとわたしを傷つける事などできないのだ。

「何か用ですか?」
 わたしは聖人様の部屋の襖を開けながら、いつもの様にどかどかと入っていくと、非難的な視線が集中した。驚いた事に聖人様の元には皇一族の五大宗家である「鉄」「焔」「嶺」「水鏡」の当主が集まっていた。
 聖人様は「橘」の当主も兼任しているため五大宗家全ての当主が集まった事になる。これはよっぽどの事だ、一族存亡の危機に関わるほどの大事件に違いが無い。
「大和様、下僕の躾がなっていないのではありませんか?」
 わたしを睨みながら焔家の当主が聖人様に嫌味を言う。
「彼女は私の妻だ。妖魔とは言えそれ相当の扱いをしてもらう」
 聖人様は平然と流す、私の妻と言う言葉がちょっと嬉しい。
「有宇子、そこに座りなさい」
 聖人様は自分の目の前、部屋の中央を指差しそう命じた。
 あたしは五人の当主に囲まれるような形で、お尻をペタンと畳につけていわゆる「女の子座り」をした。当然当主達の気分を逆なでするためにだ。
「座りました」
 わたしは子供っぽく振舞った。
「有宇子にお願いしたい事があるんだ」
「お願い?」
 わたしは聞き返した。
「お願いではなく命令だ」
 後ろから嶺家の当主の声が聞こえるが、わたしは無視をした。
「来年の春からある中学へ入学してもらいたい」
 聖人様もその声を無視して話しを続けた。
「中学校に?」
「そうだ」
「目的はなんです? 学歴が無いから中学生からやり直せってわけでもなさそうだし」
「いちいち茶々を入れるな、黙って大和様の言う事を聞け」
 嶺家の当主がまた口を挟む。
「わたしは聖人様の下僕で、あなたの下僕じゃない、あんたがいくら五大宗家の当主だからって、あんたにとやかく命令される筋合いはないわ」
 わたしは頭にきて嶺の当主を睨みつける。
「小娘が生意気な!」
「わたしはこう見えても聖人様と同じ歳、あたしを年齢で馬鹿にするなら、聖人様も同じように馬鹿にしてることになるわね」
「な……」
 嶺家の当主は怒りのあまりに立ちありわたしに殴りからんばかりだ。
「やめなさい、御前ですわ」
 ここで鉄家の当主が仲裁に入った。この人は見た目は上品で人のよさそうなおばあちゃんだ、だけど若い頃は相当の退魔師だったと聞いている。
 あたしは素直に従った。昔からこの人だけは好きだった。
「話しを続けるぞ……」
 聖人様は多少うんざりした口調だった。なにせわたしと嶺家の当主の不仲は今に始まった事ではないからだ。まあ、それはいずれ話す異にして、今は聖人様の話しの方が大事だった。
「有宇子には友愛学園というなの私立の女子校に来年度から入学してもらう」
「ゆ、友愛学園? なんか気色悪い名前の学校ですね」
 わたしは素直に思ったことを口にしてしまう。
 以前、人間だった頃は自分の思ったことを口にできない少女だったのに、何時の間にかこんな風に性格が変わってしまっていた。
 聖人様の話によると友愛学園はどこぞの大学や高校の付属でもなく単一の女子中学で、完全な全寮制で生徒数は僅か百八十人ほど、よくこれで経営が成り立つ物だと感心するほどだ。
 その学園の裏である宗教団体が動いているらしく、その宗教団体は妖魔に関わっているようだ、妖魔を神と崇め裏で何かしようとしているのか? もしくは古代の神々の復活を望む集団なのか詳しい事はわかっていない。
 わたしにはこの学園と宗教団体の関係、あわよくば宗教団体の目的までも探ってくることである。
「任務は三年間、即ち卒業するまでだ」
「三年ですか……」
 三年間も聖人様と離れ離れにならなくてはならない。わたしにとってそれは辛い事でもある。なにせ聖人様は亡くなった「ご主人様」以外で唯一わたしを愛してくれる人だ、当然わたしもそれに応えているつもりだ。
「あなた以外に、もう一人先に潜入した私の家のものがいます、現在二年生で、あなたが入学したときには三年生になるはずです。名前は「金剛七美」です。合流し力を合わせてください」
 鉄家の当主が付け加えた。
 中学二年生……十四歳で一族の為に命を懸ける……
「ちゅ、本物の中学生に潜入捜査を?」
 露骨に嫌な顔をするわたしの問に、鉄の当主は黙ってうなずいた。
「有宇子……私とて、無為に若い……いや、幼い者に命懸けの仕事をさせるのは反対だ……だが、世の中綺麗ごとだけでは済まない……それにそれが皇一族に、退魔師として生まれてきた者の運命だ」
 聖人様の目は悲しげだ。この方は皇一族という巨大組織の長としては優しすぎるのだ。
「詳細は後日改めて説明する。下がって良いぞ」
 聖人様の言葉にわたしは黙って立ちあがり、礼もせずに部屋から出ていった。我ながら無礼千万な奴だと思う。

「なんの用だったんですか?」
 わたしが自分に与えれた部屋に戻るとそこでは何故か希がくつろいでいた。わたしの事が気になってしかたがないのだ、本当に希は可愛い奴だ。
「来年の春からしばらく会えなくなるわ」
「そんな〜」
 希は寂しそうにうつむいた。
「まだ九月よ、春まで長いわ」
 わたしは希の隣に座ると肩に頭をのせるように寄り添った。
 希とわたしはそう言う関係だ、聖人様は多忙で邸にいるのは月に数日、わたしが仕事についていくのはよっぽどの時だけでほとんどが邸でお留守番、希は特殊な力は持っているものの、妖魔としての戦闘能力は殆ど皆無なために外へ出る事はまず無い。あたしが連れ歩くくらいだ。
 そしてわたしと希にも性欲はある、だが邸の人間は殆どが普通の人間だ、普通の人間に手を出すわけにはいかないし、それにわたしは聖人様以外の男とセックスする気は無い、当然のように希に目が向いてしまい関係を持ってしまった。
「有宇子ちゃん……」
「して……希」
 甘えた声を出し目を潤ませて希を見つめる。希はわたしの背中に手を廻して抱き寄せながらわたしにキスをする。舌がわたしの口内に侵入しわたしの舌と絡まる。
 そしてワンピースとキャミソールの肩紐をずらし、上半身をあっという間に裸にした。
 両手でわたしの膨らみの少ない胸を優しく愛撫する希の繊細な指先。
 唇が塞がれたままで声をあげる事はできないが、わたしの肩は時より快感でピクッと震える。
 希は唇を離すと、私を抱きかかえるように立ち上がる、腰のあたりで纏わり付いていたワンピースとキャミソールが足元に落ち、わたしはショーツ一枚の姿になった。
 わたしはその姿のままベッドに横たわった。希もブラウスとプリーツスカートを脱ぎ下着姿になった。わたしと違い彼女の身体は凹凸がハッキリしている。それほど大きくはないが弾力のある乳房、ブラジャーを外すとピンク色の先端が露になる、それはもう興奮状態にありツンと上を向いていた。腰もくびれてるしお尻も引き締まっていて、幼児体形のわたしとは全然違う。
 でも、わたしはそれを羨ましいとは思わない、わたしは自分の意思で「あの時」からだの成長を止めたんだ、彼女が愛してくれた身体をまた会う日までそのままにしておきたかったから……
「さて、有宇子ちゃんのエッチなところ、たっぷり楽しませてね」
 希はそう言いながらわたしに圧し掛かってきた。
 わたしは一方的に責められ、焦らされ、虐められるのが大好きだ。
 そして希もそれを熟知している……いや、わたしがそのように「調教」したのだ。

「はぁ、はぁ、はぁん! 狂う! 狂っちゃう!」
 希は一時間以上にわたり、わたしの全身を舐め、愛撫している。わたしは数え切れないくらいの絶頂を迎えていた。
 だけど、アソコと、わたしの最大の弱点であるお尻の穴には指一本触れていない、それどころかショーツすら脱がされていない。自分の愛液を大量に吸いこんだショーツが重い……
「ああぁん、触って、お尻触って!」
 わたしはうつ伏せになってお尻だけ高く上げた格好で、両手を後ろで縛られている。
 ビショビショのショーツに包まれたお尻を嫌らしく振りながら、はしたなくおねだりをした。
「有宇子ちゃんオモラシしたみたい」
 濡れたショーツのゴムを引っ張りながら希は呟く。
「あぁん、言わないで……」
 わたしの顔は涙と鼻水でぐちゅぐちゅだ。
「ヌギヌギしましょうね」
 子供にでも話しかけるような口調で希は言うと、両手でショーツのゴムを摘み一気に膝まで下ろす。
「ふぅ〜んっ」
 わたしはアソコが空気に触れた刺激で軽くイッてしまった。散々愛撫され焦らされた事で全身が敏感になっている。
「ほら、お尻もアソコもパクパクして、やらしくオネダリしてるよ」
「そうなの! ちょうだい、希の指!」
 わたしは上の口でもオネダリした。
「もう……しょうがないなあ……えいっ」
「ふにゅぅんっ」
 希の指が声と共にわたしのお尻の穴に深深と突き刺さった、わたしはまたしても絶頂を迎える。
「こっちもね」
 そう言って希はわたしのびんびんに勃起したクリトリスに軽く歯を立てる。
「ひっ!」
 わたしはもうイキッぱなしだ。
 大量の愛液が一気に溢れ出る。
「有宇子ちゃんのエッチジュース美味しい」
 希はあたしの愛液をじゅるじゅる啜って飲み干し、その快感にわたしは更なる愛液を分泌する。
「いくら飲んでも無くならないね」
 希は嬉しそうに言った。指はお尻の穴へのピストン運動を休む事無く続けている。
「はぁん、もっと、もっとお尻の穴虐めて!」
 わたしは希の言葉など全く耳に入っていないかのように無視し、オネダリを続ける。
「じゃあもっと……」
 希の責めは佳境に入った。

「……生徒会長の金剛七美さんの挨拶です」
 その言葉にわたしの思考は半年前から現在に急激に引き戻された。
 壇上に上がる少女。
 肩までかかる少し茶色がかった髪の毛、抜けるような真っ白な肌、ブラウンの瞳にちょっと厚めの唇、わたしが見た写真よりもかなり大人びているが、それは二年の歳月が彼女を成長させたのであろう。
 間違いなく鉄家の七美であった。
 どういうつもりでスパイである彼女が生徒会長なんて目立つポジションにいるのかはわからないけど、これで探す手間は省けたってことだ。あとは、どう接触するか、わたしは彼女を知っているけども、彼女はわたしの事を知らないだろう。
「……と、言うわけです。新入生の皆さんも、友愛学園の生徒として充実した三年間の中学生活を送ってください」
 七美の挨拶が終わり壇上から降りる。
(なんとか早いうちに彼女とコンタクトを取らなくては……)
 入学式はそのまま何事もなく終了した。

つづく

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