双神
PROLOGUE
「イビル・エンジェルの風間奈緒だな?」 深夜の三時、チームの連中と散々暴れた後、一人マンションへと帰る途中突然後ろから声をかけられた。いつもの事だ、きっとお礼参りだろう。 この街の夜の社会で風間奈緒の名を知らないものはいなかった、若干十五歳で少女だけのチーム「イビル・エンジェル」を率いて、経った半年でこの街全てのチームを制覇し、今ややくざすら頭が上がらない、この街の夜の支配者。 当然反発するものもいるが、奈緒は全て力でねじ伏せてきた、力こそ全てこれが奈緒の持論だ。 イビル・エンジェルの奈緒以外のメンバーは、多少喧嘩は強いものの普通の少女だ、奈緒だけが尋常じゃなかった。全ての敵を一撃で蹴り倒す。奈緒の変幻自在の蹴りについてこれる者はなく、例えガードしてもガードした腕の骨ごと破壊する。 「破壊の天使」それが風間奈緒だった。 奈緒が振り向くとそこにはモスグリーンのコートを着た男が立っていた。襟を立てていて顔ははっきり見えない。好戦的な視線を発する目だけが光って見えた. 「あたしになにか用?」 奈緒は嬉しかった、最近なおに刃向かう骨のある男はいない、誰もが尻尾を振ってくる。それでは奈緒の中の破壊的欲求は収まらない、誰でも良いからボコボコに蹴り倒したい、奈緒は闘いに飢えていた。 目の前の男はどうやらその飢えを、少しは乾かしてくれそうだ。 「ツラ貸せよ」 奈緒の目は輝いた、想った通りの男だ、喧嘩ができる。 「良いけどさ、ここじゃダメなの?」 「かまわねーけど、明日の朝、街の人間に恥ずかしい姿見せることになるぜ」 (言ってくれる!この風間奈緒にそこまで言う奴がこの街にまだいたなんて!) 奈緒は狂喜した。 「イイよ、あんたの好きなところで闘ろう」 「来な」 男はそう言うと背を向け歩き出した。後ろから襲い掛かろうにも全く隙がない。 (こいつ、強い) 奈緒は直感した、この男なら本気でやりあえるかもしれない。 二人は十分ほど歩くと、工事中のビルについた、バブルの崩壊で建築主が破産し、十数年たった今でもそのままにしてあるビルだ。 「ここだ、お前と俺との遊び場は」 男は向き直るとコートを脱いだ。コートの下はタンクトップと、革のパンツそしてロングブーツ、すべて黒一色だった。 「あ……」 そして男は驚くほどの美貌だった。一瞬女と間違えるほどに。こんな奴はじめてみた…… 奈緒も自分の外見には自信があった、卵形の輪郭に、細いが濃く意思の強さのある眉、長いまつげ、筋の通った鼻梁、小さくちょっと厚みのある唇、そして燃えるような紅い髪は然のもので、腰まで伸びている。「イビル・エンジェルの風間奈緒」と知らなければ誰もが振りかえる。 だが、男の顔は次元が違う、まるでギリシャ神話の女神像のように神々しい、目も鼻も口も、全て完璧な形と配置、そして黄金のような金髪は軽くウェーブがかかり足首まで伸びている。 奈緒に残虐な意思が沸いた、この美しい顔をボロボロにしてやる。 「その綺麗な顔、二目と見られなくしてやるよ」 奈緒はそう言うといきなり跳びかかる、極悪に短いスカートがめくれあがり下着が丸見えになるが全く気にせずに、先制の右ミドルキックを放つ。たいていの奴はこのミドルキックで仕留めた、必殺の蹴りだ。 しかし男は軽くステップバックしてかわすと、右足で軽く奈緒の軸足を払い転倒させる。奈緒は左手を地面につけ身体を半回転させ受身を取って、片膝を着く姿勢になった。 「噂ほどじゃないんじゃねーの? 風間奈緒ちゃん」 男は嘲笑した。 「五月蝿い! 今のは様子を見ただけだ」 そう叫ぶと、態勢を低くしたまま地面を滑るように男に接近し、右足で男の両足を刈る。男はとっさに跳びあがって避けた。 (計算通り!) 奈緒は心の中で叫ぶと、そのまま右足を軸にして左足の踵で空中にいる男の顎を狙った。空中にいる男は絶対避けられな……はずだった。 (なんで?) 男はそこに居ず、左足はむなしく空を切る。 背中に強烈な衝撃。 何時の間にか奈緒の背後に廻り込んだ男が奈緒の背中にブーツをめり込ませた。 「うっ」 奈緒は二メートルほど蹴り飛ばされた。一瞬呼吸が止まる。背骨激痛が残る。 (ど。どうやってかわしたの?) 奈緒の左足は確実のとこの顎を捕らえたはずだった、空中であの態勢から逃れられるはずはない。 「オイオイ、もうオネンネか? この程度で破壊の天使だと? 笑わせるなよ」 男は鼻で笑った。 奈緒は怒りで冷静さを失っていた、普段の奈緒ならこんな事はない。だが、必殺のミドルキックをかわされ、確実に捕らえたはずのコンビネーションも避けられ、自分は相手の蹴り一発で地面に這いつくばって嘲笑を買っている。こんな事は今までなかった…… 奈緒がテコンドーをはじめたのは小学五年生の時だった。テレビのオリンピック中継で魅せられ、それまでやっていたクラシックバレイを辞めて道場の門を叩くまで、両親の説得に半年かかった。 両親も最初は反対したが、それまで大人しく自分を表に出すことがなかった奈緒の、初めてといって良い自己主張と半年もの永きにわたる説得で、本気だと感じついに折れたのである。 道場に入ってからの奈緒の上達は凄まじかった。もともとバレエをやっていたので、身体の柔らかさと運動神経は人並み以上であったし、テコンドーにかけるストイックさが小学生とは思えなかった。あっという間に昇級を重ね、中学に入った頃には大人に混じり練習をしていた。 大会でも連勝を重ねて、ジュニアの大会では日本に敵はなく、大人相手の試合でも互角以上の闘いをして将来を嘱望されていた。 しかし、奈緒は物足りなくなっていた、テコンドーの試合はポイント制だ。相手のどこに打撃を当てたかでポイントが加算されその合計を競う。しかし奈緒は強くなるにつれ実戦を求めた、相手を完膚なきまでに叩きのめしたくなってきた。 そんなある日事件が起きた、奈緒と同じ道場にいる全日本チャンピオンの女性と組み手が行なわれ、奈緒は相手の顎を蹴り砕き再起不能にしてしまった。そのときは事故ですんだが、奈緒は相手の顎を砕いたときの足の感触と快感が忘れられなく、一週間後今度は男性師範の頭蓋骨をかち割ってしまった、今度は誰が見ても確信犯だった。 奈緒は道場を破門され、協会から永久に除名された。 奈緒の戦いに対する欲求は積もった、闘いたい、誰でも良い……そんなことを考えながら繁華街を歩いていると一組の集団とすれ違いざまにその中の一人と片が触れ、気がつくと十数人に取り囲まれていた、イビル・エンジェル、結成間もない彼女たちは自分たちより遥かに弱そうな獲物を見つけ暇つぶしにいたぶってやろうと軽い気持で奈緒にちょっかいをかけた、それが奈緒とイビル・エンジェルの転機だった。 奈緒は凶悪な強さで彼女等を物の五分でのすと、彼女等のリーダーにとって代わった。奈緒は暴力に目覚めた。なにも戦う場所は道場だけではない、街にだって喧嘩の相手はいくらでもいるではないか! 奈緒は強いと噂される奴がいると片っ端から喧嘩を売った。チーマー、やくざ、暴走族、相手が多人数でも関係なかった、武器を持っていても奈緒の前では無力だった。ナイフがあっても刺される前に相手を無力化した、拳銃を持っていても怖くなかった、撃たれる前に相手の顎を砕けば良い。 奈緒はこの街で敵はいなくなるとよその街にも出かけた、そこでも敵はいない、「破壊の天使」の名は瞬く間に夜の世界へ広まった。 その自分が圧されている、生まれて初めての経験。 奈緒は立ち上がると靴を脱いだ、そして軽くステップを踏み出す。 「ふふ、あんた、本当に強いね。あたし嬉しいよ。本気で闘えるなんて今までなかった」 奈緒はそう言うと左ストレートを放つ、男は軽くブロックした。だがそれはフェイントだ、死角から左のローキックを放つ、男の太ももにバットを折る蹴りがこの日初めて命中した。 しかし、男は奈緒のローキックを物ともせずに、受けた左手をつかむと、一本背負いのように奈緒を投げ捨てた。背中から壁に当たり息が止まる、そのまま頭から地面に激突した。 「な、なんで? あたしの蹴りが効かない?」 奈緒は驚愕した、かわされたのならともかく絶妙のタイミングで入ったローキックが、全く効かがないなんて…… 「その程度かよ、おまえの本気は……がっかりだぜ」 男は冷ややかな目で見る。 「だ、黙れ、今までのはほんの小手調べだ」 誰が見ても強がりだった、奈緒は今まで喧嘩で強がりを言ったことはなかった、いや言う必要がなかった。奈緒を圧倒する人間など存在しなかった。 それが、この男は……次元が違う、今まで戦った連中なんてこの男に比べたらチンピラですらない。 奈緒は立ち上がり呼吸を整える。 「どうした? そっちから来ないなら、こっちから行くぞ!」 男はそう言うとものすごいダッシュで迫ってきた、瞬く間なく奈緒に接近すると、ボディに左膝、苦痛に身体を折り曲げたとこへ叩頭部に肘を落とす。そしてとどめに右のつま先が奈緒のこめかみを捕らえた。 一瞬のコンビネーション、奈緒は全く防御を取ることができずにすべての攻撃をもろに受けてしまった。苦痛に顔をゆがめ床に転がる。 口から血を吐き出した。 涙が滲んできた。 「あ〜あ、人の噂なんてテンであてになりゃしない、全然弱いじゃん」 屈辱だった。誰もが恐れる「破壊の天使」がこんなどこの誰とも知れない奴に全く手も足も出ないで床に這っている…… 「本気で来いって言ってんだぜ、「力」を使ってさ」 男の言葉に動揺した。だが、男の強さにも合点がいった。 (なるほど、こいつ同類か!) 奈緒は普通の人間ではなかった、自分では「超能力者」の類だと思っていた。両足に気力を集中すると、コンクリートを砕き、鉄板を引き裂く蹴りが放て、百メートルを五秒で走れるほどの脚力が生まれる。 男はこの力の事を知っている。こいつも力を持っているんだ!、こいつは力を使っていたからあんなに強かったんだ!奈緒は結論付けた。 口から流れる血を拭い、立ちあがる奈緒。 「なんであたしの力の事を知ってるか知らないけど、死にたいんなら見せてやるよ」 そう言うと奈緒の両足が青白く輝きだす。奈緒の力が発動した。 「死にな!」 そう叫ぶと一瞬で間合いを詰め、男の側頭部にハイキックを放つ。男はその蹴りを易々と手で受け。奈緒の足をつかむと投げ飛ばした。 奈緒は空中で回転し、壁に両足で着地すると同時に壁を蹴り、天井を走り男の真上から脳天めがけて踵落としを狙う、男は紙一重でかわすと左の膝で奈緒の腹を狙うが、今度は奈緒も両手で膝を受けるとその力を利用して跳びあがり、男の顔面へあびせ蹴りをはなった。男は両腕でブロックするとバックステップで間合いを取る。 (イケル! 互角だ!) 奈緒は感じた。このままなら勝機はある。 「へへへ、なるほど、力を使えばこの程度はイケル……か、まあ、覚醒前という事を考えればまずまずじゃねーかな」 (こ、この程度?) 自分の全力の攻撃がこの程度? 「んでは、こちらも力を使わせてもらいますかね」 (え? 今まで力を使っていなかった?) 奈緒は驚愕した、力を使わないで力を使い全力で向かった奈緒と互角だった……もしこの男が力を使ったら、自分は殺される? 奈緒は震えながら後ずさりをはじめた。逃げなくては、この男は危険過ぎる、自分のレベルでどうかなる相手ではない。 「逃げるなよ、殺しゃしねーよ、天国には連れてってやるぜ!」 そう言って差し出した男の右手から炎の鞭が現れる。 「へっへー! まずは、ストリップだ」 男が鞭を振り下ろす。奈緒には全く鞭の軌道が見えなかった。一瞬身体に痛みを感じると服が胸から裂けていた。 「な、何を……」 頬を染めて身構える奈緒。 「ひゃははは、破壊の天使も人並みに羞恥心は持っんのかよ」 鞭がさらに唸り、奈緒の服を切り裂いていく。見る見るうちに奈緒の素肌は露出していき、身体は火傷だらけになった。 「う……なんで……」 左手ですでに役目を果たすことが出来なくなったブラジャーを抑え、片膝を付く、身に付けている物は白いショーツだけだ。 男はゆっくりと近づいて来ると、奈緒の紅い髪を掴み無理やり立ちあがらせた。 「へへへへへ、こうして見ると、お前結構イケテルジャン」 「は、離せ」 奈緒は膝蹴りを男に放つが、すでに力はなく全く効果がない。 「んじゃあ、そろそろ御地になりますか」 男の手がショーツに伸びる。 「い、いやぁ」 奈緒の口から今までとは全くトーンの違う悲鳴が放たれた。 「お願い……それだけは許して……」 涙を流し懇願する奈緒、そこに「破壊の天使」の顔は無く、ただ普通の十五歳の高校一年生の少女でしかなかった。 しかし男はうむ言わさず奈緒のショーツを引き裂いた。 「ああ、や、やぁ……」 奈緒の声が細く廃ビルに響く。今だ陰毛も生えそろっていない恥丘が露になった。 「み、見ないで……」 「おいおい、まさかお前、処女か?」 男の問いに奈緒はうなずいた。 奈緒はセックスに全く興味が無かった。十五歳の少女としては異常かもしれないが、彼女には戦いこそが全てだった、いかに強い敵と闘い倒すか、そのこと以外頭に無い、恋愛やセックスが頭に入る余地など皆無だった。 だからこそ、この自分より遥かに強い男の前で裸に剥かれる恐怖。この男は自分を強姦するつもりだ。でも、いったい自分がどんな目に会うか全く見当がつかない。セックスのことなど保健体育の授業で習ったことしか知らない、チームの連中が男との情事を話していることがあったが、奈緒は全く耳を貸さなかった、興味が無かった。 「震えてんのかよ、破壊の天使が処女とは意外だけど、ま、イイか、俺が女のヨロコビってやつを教えてやるぜ」 男はそう言うと奈緒のまだ誰にも触られたことが無い恥丘に手を伸ばした。 「やぁ、ダメ……」 「破壊の天使」の表情はすでに無い、今や風間奈緒はただの無力な少女に過ぎなかった。 男の指が薄い陰毛を掻き分け秘裂に達した。肉襞を掻き分け奈緒すら触ったことが無い肉のボタンに触れる。 「ひっ」 悲鳴をあげる奈緒。だが男への恐怖で全く抵抗が出来ない。 「自分でいつも触ってんだろ?」 奈緒は頭を振った。 「オナニーもした事ないのかよ、とんだネンネだな。どうだ、初めて触られた感想はよ?」 「痛い……お願い許して……」 男は無視して二本の指で奈緒のクリトリスを弄ぶ。徐々に奈緒の股間が濡れてきた。男はクリトリスの皮を剥き愛撫を強くする。 「い、いぃ」 「へへっ、感じてきたかよ?」 (感じる? どう言う意味?) セックスに対する知識がゼロの奈緒に男の言葉の意味は理解できなかった。 「気持よくなってきたか聞いてんだよ!」 (き、気持よくなることを、感じるって言うの?) 男の愛撫は強くなる。奈緒はだんだん立っているのが辛くなってきた。痛みが徐々に快感に変化してきたのだ。 「き、気持……気持良いです」 奈緒がそう言うと奈緒の秘裂からどっと愛液が溢れ出した。心が屈してしまったことで、身体まで屈してしまったように。 「ひょ〜、いきなり大洪水だな」 「ああぁぁ……」 奈緒はついに立っていられなくなり、男に抱きつくように倒れこんだ。男は奈緒の髪の毛を掴んでいた手を離し、奈緒の身体を抱き寄せる。 「感じやすいな、奈緒ちゃんよ」 「あ、もっと……」 奈緒は生まれて初めての快感に打ち震えていた。今までは喧嘩や試合に勝って精神的な快感は受けたことがあったが、この様な肉体への直接な快感は初めてのものだ。それに、自分の身体がこんなにも快感にもろいものだとは知らなかった。 奈緒は男の逞しい右腕に抱き付いている。男は親指と人差し指で、クリトリスを愛撫しながら、膣口に中指を這わせた。 「ああぁぁ、そ、そこ」 奈緒は男の腕にぎゅっとしがみ付く。すでに奈緒のソコは大洪水だった。男は奈緒の入り口を入念にマッサージするとゆっくりと指を進入させた。 「い、イイ」 奈緒は初めての膣への挿入に感じ震えた。男の愛撫が巧みだったのか? 奈緒が感じやすかったのかは不明だが、奈緒の膣は男の指を易々と受け入れ、ぎゅっと男の指を締めた。 「な、なに?」 急に胸になにかが触るのを感じた、見下ろすと糸のようなものが奈緒のCカップの胸を弄っている。 「何なのコレ?」 糸のようなものは奈緒を抱き寄せている男の指先から生えていた。 「言ったろ、天国に連れてってやるってよ」 男の指から生える糸は、奈緒の性感を巧みに見つけ出し、愛撫しだした。胸全体を優しく撫でまわし、乳首に絡みつき、脇の下、脇腹、へそ、そして耳の中や口の中まで進入してきた。 「あ、あうぅぅぅ」 (な、なにこれ? き、気持ちイイの? 耳の穴や、口の中を触られて、こんな糸なんかで触られて気持ちイイ……あたしおかしいの?) セックスに関しては小学生並みの知識しかない奈緒は、胸や性器以外が性感滞になるなどとは想像だにしなかった。 「ひゃ〜、すごいねこりゃ、 まるでションベン漏らしたみてえ」 男の言うとおり秘裂からあふれ出た愛液は、脚を滴って足元に水たまりを作り出していた。 「あ、ああぁぁ」 声にならない声、男の糸に口内を愛撫されている奈緒は、まともに返事をすることすらできない。だがその目は潤み、快感に身体が支配されていることを口に出さずとも語っている。 「ん、んんっ」 男は奈緒の身体を引き寄せて、その小さな唇を自らの口でふさぐ、奈緒は本能的にか、男の首に両腕を廻して抱きついた。 「ん〜んっんっん〜」 男の長い舌が奈緒の唇をこじ開け口内に進入してきた、奈緒は自ら進んで男の舌に自分の舌を絡める。 生まれて初めてのキス、恋愛やセックスに興味のなかった奈緒は、キスに対してもその年代の少女が抱くような幻想は全く持っていなかった。男の舌が奈緒の口内の性感滞を巧みに刺激する。 (あ、あぁ……き、キスって気持ちがイイ) 糸による上半身の愛撫、指による膣内クリトリスへの刺激、そしてキス。 奈緒は限界だった、身体は初めての絶頂を今か今かと期待し高ぶる、全身はピンク色にほんのり染まり、汗でびっしょり濡れている。 (あぁ、とぶ、飛んでいきそう……あ、あぁぁ、もう、もうダメ、あ、ああぁぁぁぁ) 「イケよ」 男は奈緒の唇を開放し耳元でささやくと、膣内の指を更に奥に押し込む、指が処女膜に触れた途端に、奈緒は生まれて初めての絶頂を迎えた。両足はガタガタ震え、上半身の力はなくなりうなだれる、男が抱きかかえていなかったら、後ろに転倒していたであろう。 奈緒はそのまま失神した。 「あ、あぁぁぁ、い、イイ」 床に胡座をかいて座る男の膝の上で奈緒は一人あえいでいた。男の手は全く奈緒の身体に触れていない、あの気持ちがイイ糸も出ていない、奈緒は生まれて初めてオナニーをしていた、自分で胸をもみ、拙い手つきで秘裂を愛撫する。生まれて初めての愛撫は、男による愛撫に比べて全く物足りない。 それでも絶頂と男の愛撫によって敏感になった奈緒の身体は、快感を感じていた、だがさっきのような絶頂を迎えることができない、もどかしい。 奈緒は男の首に自分の腕をかけ、男の顔に口を寄せた。 「お、お願い、触って」 涙を流し懇願するが、男は微動だにしない。 奈緒は男の顔を両手ではさみ、唇や耳を舐める。 「お願い、気持ちよくして……な、なんでもするから」 「本当に何でもするのかよ?」 男はやっと口を開いた。 「なんでも、なんでもする……だから、気持ちよく……して」 いきなり男は立ちあがった、膝に乗っていた奈緒は床に転がり落ちる。 両膝を開きお尻に床をペタンと付け男を見上げる奈緒の前で男はズボンのファスナーを下ろすと、巨大なペニスを出した。奈緒は父親以外の大人のペニスをはじめて見た、それは父親のものとは違い、黒々と光りまるで毒蛇のように見えた。 ゴクンと生唾を飲み込む。 「へっ、口で咥えな」 (え?) 一言だけ発した男の言葉に奈緒は動揺した。 奈緒の小学生並みのセックスに対する知識の中に、男性器を口に含むなどという行為は存在しなかった。 (これを、口に入れるの?) 「早くしろよ、気持ちが良くなりてーんだろ?」 「は、はい」 男の声に思わず「はい」と返事をしてしまった。ペニスに対する嫌悪感よりも、男に快感をもらいたいという気持ちのほうが、遥かに強かった。恐る恐る両手をペニスへそえる。初めて触ったペニスは思ったより軟らかかった、こんなものがどうやって自分の身体にはいるのだろう? と、思った。 (自分に入る……あたし、この男とセックスすることを前提に考えている) 今までの自分では絶対思い浮かばない考えだ。 奈緒は小さな口から舌を伸ばし、かるく男のペニスの先端に触ってみた。思ったより嫌じゃない、チョットしょっぱい、においも、何故か惹かれるものが……思いきって先端から口に含む、奈緒の小さい口を精一杯開けてやっとそれは口の中に入った。 「ん、んんんっ」 「舌をつかえ!そう、そうだ」 男の命令に従い短い舌で口内のペニスを精一杯舐める。 「手も使いな、そうだ、もっと力を入れてイイぜ」 口に入りきらない部分を両手をスライドさせ必死に愛撫する。 するとそれまで力がなく舌を向いていた男のペニスが、段々と硬度を付け上を向きだした。奈緒は驚いた、これが勃起というものか、性欲に呑まれながらも、どこか冷静で入る部分がある自分がおかしかった。 男のペニスが上を向いてくるに従い、それまで膝立ちで男のペニスをしゃぶっていた奈緒の体勢も苦しくなり、完全に立ちあがるとお尻を突き出すような形で身体を九十度に曲げ、右手で男の腰につかまるような体勢になった。 「あんっ」 奈緒はペニスから口を離し嬌声をあげた。男の手が伸び奈緒の秘裂へ突然触れたのだ。奈緒のそこは初めてのフェラチオでの興奮と、今までのオナニーで十分濡れていた。 「誰が休んでイイつった?」 「ご、ごめんなさい」 奈緒は慌ててペニスを口に入れなおす、十分に勃起しているそれは、奈緒の小さな口になかなか入らない。 「早くしな」 男はそう言いながらも、奈緒がペニスを捕らえる瞬間に、指の力を強め巧みに妨害していた。腰を振りあえぎながら必死にペニスをくわえようとする奈緒の姿が滑稽で仕方がない。 「どうした? 早くしろってんだろ」 「ああんっ、そんなに触ったら、うまくできない……」 「じゃあ、触るのをやめちまうか?」 「あ、や、やめちゃや……意地悪しないでぇ」 「破壊の天使」は完全に姿を消し、そこにいるのは快感を求め涙する少女だけだ。 「じゃあ、お願いしな、何がしたい?」 「あ……ちん……」 か細い奈緒の声。 「はっきり言えよ、ここに捨てちまうぞ!」 男は強く言った。 「嫌、捨てないで、やめないで」 懇願する奈緒。 「じゃあ、はっきり言いな」 「ちんちん…あなたの、あなたのちんちんしゃぶりたいです」 「なんで?」 「美味しいから……」 「命令されるからだろ?」 「違う……ちんちん美味しいからしゃぶりたい、舐めたい……お願い舐めさせて、あなたのちんちん舐めさせて……」 本心からの懇願だった、奈緒は初めてのフェラチオで得た口内の性感を刺激される快感、そして、その興奮による快感に魅せられた。それだけではない、味そのもの、男の体臭を含め先走りの味まで奈緒は美味しいと感じていた。 「なんだよ、初めて咥えて、チンポが気に入ったのかよ、流石「リ・ウェグナの転身」だぜ」 (「リ・ウェグナの転身」何の事? またエッチな意味?) 「そんなに咥えたけりゃ、下の口に咥えさせてやる」 (し、下の口……ついにセックスさせられる) 奈緒の中に期待と不安が入り混じる複雑な心境が飛び交う。 もっと気持よくなれるかもしれない…… (でも、あんなに大きいものが、あ、あたしの身体に入るなんて……) 奈緒は男のペニスを凝視した。 「そんなに見つめんじゃねぇよ、さっさとケツこっち向けて四つん這いになりな」 「はい」 奈緒は素直に従い、四つん這いになった。後ろから見ている男には秘所も肛門も丸見えの状態だ。 (は、恥ずかしい……) 初めて会った人間にお尻の穴まで曝して快感を求めている。自分はなんて人間なんだ…… 「ひゃうっ」 思いもよらぬ所への刺激、肛門に生暖かいざらっとした感触が走る。男がいきなり肛門を舐めたのだ。 「ケツの穴も綺麗なピンクじゃん。こっちいただこうかな?」 「えっ?」 「冗談だよ冗談、可愛い悲鳴あげるなよ、俺はアナルセックスの趣味は無いんだ」 (アナル? お尻の穴にちんちん入れるの? そんな事出来るの?) 「さって、じゃあいただくか」 男は奈緒が動揺するまもなく、ペニスを奈緒の秘裂に押し付けた。 「ひうぅん」 奈緒の嬌声。 「ひゅ〜、ホントお前反応可愛いよ、最高」 「か、可愛いの? あたしが?」 奈緒は驚いた。子どもの頃は背が高く何時もムッツリしていたので、お世辞以外で可愛いなどと言われたことが無く、テコンドーを習い始めてからは恐怖の対象でしかなかった。美人と言われる事はあっても「可愛い」と言われたのは、記憶の中に残っていない。 「ああ、可愛いぜ、お前のよがり声も、反応も、今までこんな可愛い……オイなんだよ」 奈緒は身体を反転させ仰向けになると、男の首に両手を廻した。 「どうしたんだよ、キスでもして欲しくなったのか?」 コクンとうなずき、奈緒は自分から男の唇に口を寄せた。 「やっぱり可愛いよお前」 男はそう言って奈緒の唇を貪った。二人の舌が絡み合い、唾液が混ざり合う、口の中に流れてくる唾液を奈緒は躊躇無く飲み干す。 「気が変わったよ」 「え?」 「ボロボロに犯してやろうかと思ったけどよ、なんか、気が変わったわ」 「どういう事?」 「こういう事だよ」 男は奈緒の足を優しく広げると、ペニスをゆっくり秘裂あて、馴染ませるようにペニスで膣の周囲を愛撫した。 「ふにゅ〜ん」 奈緒は快感でグッタリとなる。 「やっぱ可愛いよお前」 そう言ってゆっくりっとペニスを奈緒の処女口に進入させた。 「ひ、い、いた、いたぃ」 身を裂かれるような激痛に奈緒は悲鳴をあげる。男は奈緒をそっと抱き寄せ耳を噛んだ。 「力抜け、身体を楽にしないと余計痛いぞ」 耳元で囁く、しかし身体を槍で貫かれているかのような激痛の中、身体をリラックスさせる事など出来るはずが無い。 「い、痛いよ……」 涙を流し奈緒は男に抱きつく。 「しかたねえな」 男は自分の身体を仰向けに倒し、騎上位の態勢にした。そして奈緒の腰を両手でゆっくり愛撫する。 「あ、あん」 男の巧みな愛撫で、一気に体の力が抜け、男のペニスが完全に秘口に突き刺さった。 「あぁ、いい、痛い……痛いの……」 奈緒は男に抱きついた。 「動かないでじっとしていろ」 男はそう言いながら結合部へ手を伸ばす。 「ほら、入ってるぜ、見てみな」 「う……うん」 奈緒は涙目のまま上半身を起こし、自分の股間をのぞく、ソコにはさっき「こんなものがどうやって自分の身体にはいるのだろう?」と感じたペニスが完全に咥えこまれている。 「は、入ってる……」 「なに感動してるんだよ」 「だって、あんなに大きいちんちん入ってるよ……」 「当たり前だろ、そう言う風に出来てるんだよ、女の身体は! 子どもだって生まれるんだぜ、これくらい入らないわきゃないだろ」 男は笑った、奈緒はなるほどその通りだなと思いながら、何時の間にか下半身を襲っている痛みが薄れてきたことに気がついた。 「い、痛くなくなってきた……さっきまで死ぬほど痛かったのに、なんで?」 「ふっ、そりゃお前、俺もお前も人間じゃねえじゃねえからな」 「人間じゃない?」 「そうさ」 「超能力者って事?」 奈緒は男が力のことを言っているのだと思った。 「違う」 男はあっさり否定した。 「違うって?」 「あれは超能力なんて可愛いもんじゃねえよ。あれは神の力の片鱗だ」 「神の力?」 「そう、俺もお前も神の化身なんだよ」 「か、神の化身?」 普通なら嘲笑するとこだが、奈緒は自分の持って生まれた力にたいして常日頃疑問を持っていた、力が初めて発現したのは初潮を迎えた頃だった。庭先で蹴りの練習に集中しているときに足に違和感があった、今までになく軽い、今蹴りを打てば大木すらなぎ倒せそうな気がする、そう感じて庭にある柿木に思いっきり中段蹴りを放つと、柿木は真っ二つに折れた。 奈緒は狂喜した、コレが自分の求めていたちからだと思った。それから人に隠れ修練を積み、その力を自在に操れるようになった。そしてその頃から今のように闘争本能を剥き出しにするようになった。 その力をこの男は「神の力」と呼んだ、この男はこの力の出所と、自分がこの力を持つ意味を知っていると奈緒は直感した。 「お、教えて、力のこと、なんであたしにあんな力があるか」 「当たり前だ、そのために俺はお前を探し出したんだ。まあ、口で言うより、覚醒させた方が手っ取り早い」 「覚醒?」 「イイから俺に任せろよ!」 男はそう言うと下から腰を突き上げた。 「ひぅ」 奈緒は今度は快感による悲鳴を上げた。 外はすでに明るくなっている、時間は午前六時をまわっていた。 奈緒は裸のまま男に寄り添い遠くを見ている。すべて思い出した、自分が何者なんか、何故ここにいるのか。 「これからどうする気?」 男に尋ねる。 「そうだな、もう一発やるか?」 「うん」 奈緒はそう言うと男に抱き付きキスをした。 私立英明学園、県内でも名門の私立校だ。風間奈緒はそこの高等学舎(高等部)の一年生だ、成績は中の上クラブ活動はしておらず、授業態度は真面目、髪の毛が紅いという以外全く特徴がないが、この学園は生徒の髪型にこれといって校則もなく、幼稚舎(小等部)からこの学園に所属する彼女の髪の毛が天然で紅いのは、教師の誰もが知るところである。したがって彼女に注意を向ける教師はさほど存在しなかった。中学舎時代にテコンドーのジュニアチャンプで一時はオリンピックか? と言われていた頃はた超注目されたが、マイナー競技の定めか、引退した途端に全く注目されない一生徒に成り下がっていた。 奈緒は今、体育館のスタンドにいた、コートでは現在中学舎の男子バスケ部が他校と練習試合と行っていた、スタンドでは中学舎の大勢の女生徒―中には高等学舎の生徒もた―が黄色い声援を送っている。目当ては我が校のエースである9番の応援だった。 「へ〜、あの子がか、なるほど……」 誰にも聞こえぬ声でそっと奈緒はコートを見下ろしつぶやいた。 To be continued! |